文法の盲点

「どうせ彼は来ないわよ」英語で表すと?【If節のない仮定法】

我々日本人がなぜ仮定法を難しく感じるのか ―― その理由はひとつ、日本語にそのような文法が存在しないからです。

A「ジャックも誘おうよ。」
B「どうせ彼は来ないわよ

A「この帽子はどうかな?」
B「俺は買わないな

太字部分は仮定法です(wouldを使います)。気付きましたか?
(英訳はページ下「あとがき」を参照)

「仮に誘ったとしても・・・」「仮に私だったら・・・」と、仮のニュアンスで話してますね。これが英語では仮定法になるわけです。つまりwouldを使って文を作ります。残念ながら日本語にはこの文法がないために、見分けるのが難しく感じるわけです。

今回は、If節のない場合でも仮定法は頻繁に使われる、という英語に慣れるトレーニングです。

「どうせ彼は来ないわよ」英語で表すと?


A「ジャックも誘おうよ。」
B「どうせ彼は来ないわよ

上の会話では、まだジャックを誘っていない段階です。つまり、「どうせ彼は来ないわよ」の意味は、仮にジャックを誘ったとしても来ないだろう、という仮のニュアンス。だから、wouldを使うわけです。

A: Let's ask Jack and see if he's coming.
B: He wouldn't come.

仮の話であれば、英語は必ずwouldを文に入れます。普通の予定であれば、willやbe gonnaを入れればOK。

If節のない仮定法


「仮定法」と言えば「If節は付き物」と思いがちですが、実は実際の会話では、If節を省略して主節だけの場合が圧倒的に多いんです。

If節がないために、慣れないうちは「これが仮定法なの?」とわかりづらいのですが、文中にwouldがあれば、それは必ず「仮定法」。

ポイントは、「would」には「実際にはまだしていないが、仮にするとしたら・・・」の意味がある、と理解しておくこと。

そして、その文を訳すときに、そのニュアンスを入れ込みながら解釈するようにすれば、徐々に仮定法に慣れてきます。

では、そのようなIf節のない仮定法の例を見てみましょう。

You would look good with short hair.
(ショートにしたら似合うと思うよ)
 実際にはまだショートにしていない

I wouldn't do that.
(私ならやらないな)
 実際には自分がやるわけではなく、相手にアドバイスをしている

I wouldn't go there alone.
(私ならひとりで行かないな)
 もし私だったら、と言いながら相手に進言している

I would start by reading this book.
(私ならこの本を読むことから始めるよ)
 もし私だったら、と言いながら相手に進言している

I would do anything to protect you.
(どんなことをしてでも君を守るよ)
 「どんなことでもする」は仮の話

I would kill for that!
(それ欲しいなあ!)
 それを手に入れるためなら人殺しでもする、というくらい欲しい

Would you do the same thing?
(あなたでも同じ事をしますか?)
 もしあなたなら、という仮定

He wouldn't come.
(彼ならどうせ来ないよ)
 もし仮に誘っても、という仮定

You'd be surprised.
(聞いたら驚くよ)
 もし私の話を聞いたら、という仮定

Your dad would want you to do it.
(お父さんもきっと応援してくれるよ)
 もしお父さんがここにいたら(生きていたら)、という仮定

What would you say to him?
(あなたなら彼に何て言ってあげる?)
 もしあなたなら、という仮定

What would be the best way to contact you?
(連絡方法は何が一番都合がいいですか?)
 仮に何の方法なら、という仮定

What day would work best for you?
(何曜日であれば一番都合がいいですか?)
 仮に何曜日なら、という仮定

What would a typical day be like for you?
(あなたの平凡な一日はどんな感じですか?)
 仮に平凡な一日を想像するなら、という仮定

What number would you pick from 1 to 10, 10 being the best?
(10点満点で点数を付けるとしたら何点を付ける?)
 仮に点数を付けるなら、という仮定

Why would I do that?
(なんで私がそんなことするのよ!)
 仮にどういう理由なら、という仮定

Why would I lie?
(なんで私が嘘を付くのよ!)
 仮にどういう理由なら、という仮定

Why would you doubt that?
(なんでそんなこと疑うの?)
 仮にどういう理由なら、という仮定

It's different from what you'd expect.
(思ってるのとおそらく違いますよ)
 仮にあなたが今何かを想像するとすれば、という仮定

あとがき

仮定法と聞くと難しい文法に感じるかもしれませんが、ネイティブにとっては子供の頃から使っている普段の英語の一部、にしかすぎません。

当たり前ですが、彼らは全く難しいと思ってないわけです。なので、我々日本人が難しいと感じていることも、大抵の場合は理解してくれません。

結果として、彼らが普段英語を話す時は、wouldが入った文を普段通りにガンガン投げてきます。

ぜひ仮定法を自分が話す英語で使いこなして、ネイティブと会話してみて下さい。普通にスーッと通じるはずです(当たり前ですが笑)。おそらくその通じる心地よさがやめられなくなります笑。

A「この帽子はどうかな?」
B「俺は買わないな
A: How about this hat?
B: I wouldn't buy that.

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