文法の盲点

「当たり前のことをしただけ」はwould have done【仮定法過去完了】

仮定法が苦手な人
「仮定法の基礎は前回の記事でだいたい理解したけど、過去の終わったことはどう言えばいいのかなあ。『~したのに』とかどう表現するの?」


前回の記事仮定法が驚くほどわかる!どんな時にどう使うのか徹底解説の続きの内容です。2つ合わせてお読みになることをおすすめします。

終わってしまった過去を「~したのに」と仮定で話す


過去のことを「仮の話」で「~してたよ/してたのに」と言いたい場合は、would have 過去分詞 の形にします。

「過去」のことを仮定で話す

終わった過去のことを仮の話(仮定法)で言う時は必ず次の形になる

  1. If I had 過去分詞, I would have 過去分詞
    例)I would have called you if I had known your number.
     (番号を知ってたら、電話してたよ)
  2. If I 過去形, I would have 過去分詞
    例)I would have called you if I knew your number.
     (番号を知ってたら、電話してたよ)

本来正しい文法は①なのですが、実際のネイティブの会話では、②のほうもかなり多く使われます。理由は単純に楽だからです。私も会話ではラクなほうの②を多用しています。会話ではどちらの形を使ってもOKです。

ただし、Ifの中は①と②のどちらでもいいですが、主節のほうは必ず「I would have 過去分詞」になるので、ここだけは間違えないようにしましょう。

会話の例で見てみましょう。

過去の事を仮定で話す会話例

夫: Did you get some food? I'm hungry.
 (食べ物買ってきた?お腹空いたよ)
妻: No, I would've bought something for you if you told me you were hungry.
 (え、言ってくれたら何か買ってきたのに)
 ⇒もし過去の時点でお腹が空いたと言ってくれていたら、さっき買ってた

娘: I really hate him!
 (お父さんほんと嫌い!)
母: If I hadn't met your father, none of you would've been born.
 (私がお父さんと出会っていなかったら、あなた達は誰も生まれていなかったのよ)
 ⇒もし過去に彼と出会わなかったら、あなたは生まれていなかった

A: Sorry about what I said back there.
 (さっきは余計なこと言ってごめんね。)
B: You should be! If you hadn't said stuff like that, none of this would've happened.
 (ほんとにそうよ!あなたがあんな事言ってなかったら、こんな事にはならなかったのよ!)
 ⇒終わった過去の事を仮定で話している

A: Why didn't you call me? I was waiting for you.
 (なんで電話してくれなかったの? 待ってたんだから。)
B: I would've called you if I'd had more time. Sorry.
 (時間があったら電話してたよ。ごめんよ。)
 ⇒終わった過去の事を仮定で話している

A: You should add half a cup of orange juice to it.
 (オレンジジュースを半カップ加えてね)
B: Wow, I would've never thought orange juice. This is cool.
 (オレンジジュースとは考えもしなかったよ。いいね!)
 ⇒もし自分も同じものを作ってたら、その時にオレンジジュースは思い付かなかったよ、の意味。

A: Hey, watch out!
 (あ、あぶない!)
B: Whew, thanks. If you didn't grab me, I would've been killed already.
 (うわ、ありがとう。引っ張られなかったら、私いまごろ死んでたわ)
 ⇒終わった過去の事を仮定で話している

「当たり前のことをしただけだよ」を英語で言うと?


日本語は英語と比べると、名詞を非常に多く使う言語です。「当たり前のこと」は日本語ではよく使う言葉(名詞)ですが、英語にはそのような意味の名詞は存在しません。

では、「当たり前のこと」を英語でどう表現すればいいでしょう?

日本語を英語に変換する際のコツとして、なるべく「誰が何をどうする」のように、文のような形で説明するような固まりを作ると、大抵の場合は英語らしくなります。

「当たり前の事」→「誰でもその状況ならやったであろう事」

このように考えると、英語らしい固まりが出来上がります。

当たり前の事
→「誰でも(同じ状況なら)やったであろう事」
→ what anyone would have done (in the same situation)
これをなるべく必要最低限の単語に減らして・・・
⇒ what anyone would have

答えは・・・

「当たり前のことをしただけだよ」
「当然のことをしたまでだよ」
I just did what anyone would have.

会話例
A: Thank you! You're such a life-saver!
 (ありがとう。本当に助かったわ!)
B: I just did what anyone would have.
 (なに、当たり前のことをしただけだよ)
 ⇒お礼を言われて謙遜するときなど。

あとがき

今回は、過去の事を仮定で話す、という形を解説しました。

前回の記事仮定法が驚くほどわかる!どんな時にどう使うのか徹底解説の続きの内容なので、ぜひ2つ合わせてお読みになってください。

前回と今回の記事で、仮定法の95%を理解したことになります。会話ではこれで十分過ぎるくらいです。

何度も呟いたり、声に出したりしながら、状況のイメージを膨らませながら、練習してみてくださいね。

最後に、could have done や might have done の意味や使い方も下記の記事で解説しているので、よろしければご覧ください。

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