英語特有フレーズ

「12月はバタバタして忙しい」ネイティブ表現「All over the place」

ネイティブがよく使うフレーズのひとつに、all over the place があります。

一見すると何でもない表現に見えますね。直訳で考えて「あちこちに、至る所に、いろんな場所で」などの意味と推測できますが、実はネイティブがよく使う意味は他にもあります。これが結構重要なので会話必須のフレーズです。

今回は、all over the place の独特の意味と使い方をお話ししていきます。

「12月はバタバタして忙しい・予定がビッシリだ」の英語は?


先日の記事 Together「一緒に」ではない?ネイティブが使う6つの意味と使い方 で、

Pull yourself together.
Get it together.

→「しっかりしろ、落ち着け、正気を保て、冷静になれ」となることをお話ししました。

ということは、英語圏の人の感覚や発想として、

Togetherの意味

「自分の気持ちや精神状態が一か所に集まっている、自分の身体の中にちゃんと収まっている、バラバラに散らばっていない、散らかっていない、という状態」

=「落ち着いている状態、しっかり気持ちを保っている状態、冷静な精神状態」

という意味に捉えている、ということがわかりますね。

では、次の英文はどんな意味だと思いますか?

My schedule is gonna be all over the place in December.

直訳すると、「私のスケジュールは12月は至る所にある」となるので、自然な日本語にすると、

→「12月のスケジュールはビッシリだ」
→「12月は予定がバタバタして忙しいんだ」

He is all over the place.

「彼は至る所にいる」という意味にもなり得ますが、状況に合わせて、おおよそ次のような意味で使うことが非常に多いです。

→「彼は落ち着いていない」
→「彼は冷静でない」

「all over the place」は、人や物どちらでも主語になることができます。

All over the place

人が主語のとき
「落ち着いていない」
「冷静でない」
「パニくっている」
「テンパっている」
「焦っている」
「混乱している」
「緊張している」

物が主語のとき
「滅茶苦茶だ」
「合っていない」
「間違っている」

All over the place を使う例文


まずは文字通りの意味から見てみましょう。その後に独特の意味の例文です。

あちこちに、至る所に、いろんな場所で

You can find Yoshinoya all over the place in Tokyo.
吉野家は東京の至る所で見つかるよ
There was blood all over the place.
至る所(家中、床一面)が血だらけだった
He makes grammatical slip-ups all over the place.
彼は至る所で文法ミスをする
My schedule is gonna be all over the place in December.
12月は予定がバタバタして忙しいんだ。

滅茶苦茶、支離滅裂だ

His hair is all over the place.
彼の髪は滅茶苦茶だ。
His presentation was all over the place. It's like he wrote it 5 minutes before the stage.
彼のプレゼンはひどかった。5分前に書いた内容とでも言えるような内容だった。

合っていない、そぐわない

His drumming was all over the place.
彼のドラムは全く合っていなかった(滅茶苦茶だった)
Your calculations are all over the place (= completely wrong).
君の計算は全然合ってないよ(間違ってるよ)

混乱している、パニくっている、焦っている、緊張している

She only had two weeks to prepare and she was all over the place trying not to collapse.
彼女は2週間しか準備期間がなかったので、くじけそうだったが必死に頑張っていた
When I played in the tournament I was all over the place.
トーナメントに出場したときは、私はかなり緊張してました

あとがき

all over the placeの意外な独特な意味はお分かりいただけましたね。

先日、ネイティブの友人と飲みながら、たまたまこの表現が話題になったとき、「こういう発想は日本語にはないよ。英語独特の表現だねー」と感想を述べたところ、かなり驚かれました。

「そうなの?日本語にはないの?そうか、考えたこともなかったなあ」という反応でした。

日本語と英語のこうした違いを発見することが、私の趣味でもあるので、ネイティブとのこういう会話のひとときが、自分にとっての至福の時なんだなあ、と改めて感じながら、お酒を飲んでいました。